ドライアイスは、医療や農業、工業、エンターテインメントなど、私たちの身近なさまざまな分野で使われています。一方で、どのような物質なのか、食べてもよいのか、どのような危険があるのか、疑問に感じる方も少なくありません。この記事では、SIGVNがドライアイスの性質、製造工程、用途、取り扱い時の注意点を紹介します。
1. ドライアイスとは?
ベトナムでは、ドライアイスは「乾いた氷」「煙の氷」「CO₂の氷」などを意味するさまざまな名称で呼ばれています。科学的には、通常は気体として存在する二酸化炭素(CO₂)を固体にしたものです。
最大の特徴は「昇華」です。大気圧下では、水のように液体へ溶けるのではなく、固体から直接気体に変化します。その温度は約−78.5℃(−109.3℉)です。
水から作る普通の氷とは異なり、ドライアイスは非常に低温で、分子が密に並んだ結晶性の固体です。強い冷却力を持ち、完全に昇華した後も液体の水を残しません。そのため、水分を避けたい用途にも適しています。
高い冷却性能と比較的手頃なコストを生かし、食品、種子、生体組織の保存や工業用洗浄などに広く利用されています。

2. ドライアイスの歴史
CO₂は大気中に自然に存在する無色の気体で、一般に無臭・無味とされ、密度は空気のおよそ1.5倍です。適切な圧力・温度条件で不透明な白色の固体にすることができ、大気圧下では約−78.5℃で昇華します。
ドライアイスの発展は、19世紀初頭に始まった二酸化炭素の物理的性質の研究にさかのぼります。
- 1834年:フランスの化学者シャルル・ティロリエは、加圧された液体二酸化炭素の容器を開けた際、CO₂の雪を初めて観察しました。急速な蒸発で温度が下がり、一部が雪状の固体になったのです。
- 19世紀:固体CO₂は主に実験室で扱われ、商業利用はまだ限られていました。
- 1897年:イギリスの発明家ハーバート・サミュエル・エルワージーが、炭酸水の製造に固体CO₂を使用する特許を取得しました。
- 1920年代:米国で商業生産が始まりました。1925年にはPrest Air Devices社が「Dry Ice」という名称を登録し、鉄道輸送で車両内や貨物を冷やすための生産を進めました。
- 20世紀半ばから現在:ドライアイスはコールドチェーンを支える重要な資材となりました。家庭用電気冷蔵庫が普及する以前から保存・輸送を支え、現在も多様な用途で活躍しています。
3. ドライアイスの製造工程
原料となるのは高純度のCO₂です。製油所、アンモニア合成、その他の化学工程で発生する副生ガスを回収して利用する場合があります。回収したガスは不純物を除去し、用途に応じた安全基準、食品用途であれば食品用の品質要件を満たすよう精製してから固化工程へ送ります。
- 液化:二酸化炭素を高圧で圧縮・冷却して液体にし、専用タンクに保管します。
- 相変化:液体CO₂を配管から膨張室へ送ります。高圧から大気圧への急激な減圧によって膨張・蒸発が起こり、約−78.5℃の雪状CO₂が生成されます。
- 圧縮・成形:油圧プレスで大きな力を加え、雪状CO₂を密度の高い大きなブロックに成形します。ここで紹介する工程では、約60トンの加圧力を用い、数分で成形します。
- 切断:自動空圧式のこぎりなどで、標準的な販売サイズや顧客の要望に応じた寸法に切り分けます。
- 保管・輸送:専用の断熱容器に入れ、外部からの熱の流入を抑えることで、保管中や配送中の昇華による減量を少なくします。

4. ドライアイスの主な用途
食品・医薬品:アイスクリーム、生鮮食品、冷凍食品の長距離輸送で低温を維持します。昇華によって発生するCO₂は、一部の細菌やカビの増殖を抑える働きもあります。また、深い冷却が必要なワクチン、血液、生体組織、生きた細胞などの保存にも利用されます。
工業用洗浄:ドライアイスブラストでは、小さなペレットを高速で吹き付け、機械の油汚れ、塗膜、付着物などを除去します。適切な対象物であれば、研磨材を使わず、化学洗浄剤の残留物を残さずに洗浄できます。
舞台・イベント:温水に入れると床付近を流れる濃い霧が生じるため、舞台演出やイベントの特殊効果に使われます。
遺体の保全:強い冷却力で組織を速やかに冷やし、腐敗の進行を遅らせるために使用されます。
その他:金属部品の冷やしばめ、農業で花のつぼみが開く時期を遅らせる処理、各種技術工程などにも利用されています。

5. ドライアイスは食べられる?安全上の注意
食べられません。絶対に食べたり、口に入れたりしないでください。極低温のため、数秒の接触でも重度の凍傷や組織の損傷、口内粘膜の傷害につながります。取り扱いには適切な断熱手袋やトングを使い、素手で触れないでください。
窒息の危険:昇華すると大量のCO₂が発生します。密閉空間や換気の悪い場所では酸素が減り、危険な空気環境になるおそれがあります。使用・保管は必ず十分に換気された場所で行ってください。
容器破裂の危険:密閉した瓶、容器、プラスチックケース、気密性のある保冷容器には入れないでください。昇華したガスの逃げ道がないと内部の圧力が上がり、容器が破裂するおそれがあります。
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